- 先日、自宅の書類整理をしていたところ、ファイルの隙間から不思議な写真が1枚出てきました。(↑上に貼ってある写真です)
- 写っている文字を読み取ったところ、20年以上前に訪問した沖縄県の水族館で撮った写真であることを思い出しました。
- ということで、今回は(今回も)暇ネタです。
撮影した場所。
沖縄県本部町の国営沖縄記念公園水族館です。今は「沖縄美ら海水族館」と呼ばれている場所ですね。
訪問時期は定かではありませんが、1990年代中頃ではなかったかと。場所は、ここ。↓
で、訪問当時、水族館では「サメ」に関する企画展示をやっていて、エントランスホールをいっぱいに使ってサメの剥製・骨格標本、関連写真や解説パネルを並べ、サメの生態をいろいろと紹介していたと記憶しております。
サメ展の内容。
で、“サメの人間襲撃”に関する展示コーナーに立ち寄ってみた時のこと。
そこには「サメは何であれ噛んでみて食べられるものかどうかテストする習性がある」とか「サーフボードに腹這いになって沖に漂うサーファーは、水中のサメから見ると、大きな魚(=エサ)に見えるようだ」などの解説パネルがありました。
さらに、サメの歯形が残るかたちで食いちぎられたサーフボードや潜水服の写真などを用いて、いわゆる「人喰いザメ」の恐ろしさをあれこれ紹介していたと思います。
もちろん、すべてのサメが「人喰い」なワケではありません。
しかし、サメと言われれば「ジョーズ=人喰いザメ」を連想する人は多いでしょうから、こういうパネルが用意された趣旨については、それなりに理解したつもりになっていました。
しかし、サメの採食行動を説明するパネルの一文は、そんな私の生半可な理解を打ち砕いてくれました。
今回書類の隙間から出てきた写真は、そのパネルを撮影した写真だったのです。↓
読み取れる部分のテキストを起こしてみましょう。
「サモア諸島で、ウミガメ調査中の学者が巨大なイタチザメに丸呑みされたのもこの例です」
ここまでは、なんてことはないです。問題は、この次です。
「食べられる人にとっては悲劇ですが、サメにとっては牛が草を食べたり、私達人間がザルソバを食べるのと同じ採食行動であると理解しなければなりません」
だそうです。スゴイです。
せっかくなので、当テキスト箇所を拡大しておきます。↓
言うまでもなくサメも生物である以上、栄養を外部から補給しなければ生きていけません。
しかし、唐突に「我々がザルソバを食べるのと同じように、サメも人を食べるのだ」と宣言されても困りますよね。笑
しかも、そのことを「理解しなければならない」と、我々に義務づけようとしているわけで、もうぶっ飛びすぎでしょう、これは。
そもそも、よりによって何故ザルソバだったのでしょう?(“沖縄なんだからソーキソバのほうが相応しかったのでは?”とかいう話ではなく)
「牛が草を食べる」はまだ“主食感”がありますけど、「人間がザルソバを食べる」には“嗜好食”とか“副食”という感じしかありません。
確かに私もザルソバを食べますけど、「それと同じようにサメだって人を食うんです」じゃぁ、人間の尊厳が毀損されすぎのような気が。笑
ただ、今にして思えば、ザルソバは人間が食べる食材のごく一部ですから、その意味では「主に魚を食ってるけど、たまに人間も食べちゃう」というサメの生態を伝える喩えとして、実に的確な表現だったのかもしれませんよね。
「サメにとっての人間は、人間にとってのザルソバだ」って言われれば、「確かにそうかも!」と同意しそうになりますから。(←んなワケねーよ)
まとめ。
この解説文を書いたスタッフさん(学芸員さんかな)のサメ愛は、ハンパないです。最高です。
「あなただってザルソバ食うんだから、あなたがサメに喰われても、それは理解してやってよ」って、なかなか言えることじゃないですもんね。
ここまで理解され、愛してもらえるなんて、サメがうらやましくすら思えてきます。
(とはいえ、現在このような説明パネルを掲示するのは限りなく難しいと思われます。“炎上”どころか“人格攻撃”のリスクすらありますから。いささか息苦しいような気もしますが…)
というわけで、20数年前の沖縄旅行の思い出でした。
Link(関連サイト)
- 沖縄美ら海水族館さんの公式サイト。↓

- サメ・エイ類を研究する学会「日本板鰓類研究会」さんの公式サイト。↓
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