- 私が敬愛してやまない「太陽の塔」さんが昨日(5月11日)より、大阪府民の健康を守るための新しい役目を担ったそうです。
(私の偏愛っぷりを示す過去の関連記事は、以下をご参照ください)
『太陽の塔』内部での写真撮影範囲が試験的に拡大中!
1970年に開催された大阪万博から今年でちょうど50年。太陽の塔も50歳を迎えることとなりました。万博会期中こそ展示空間の一部として公開されていた塔の内部は、その後ずっと閉鎖・非公開となっていましたが、2018年に再生され、常設の展示空間と...
【祝「太陽の塔」50歳】万博記念公園編
前回の「太陽の塔・上層階で、試験的にフォトサービス実施中」に続き、今回は「太陽の塔(満50歳)」の“お住まい”である万博記念公園をご紹介します。When(訪問時期)2020年2月某日。Where(所在地)太陽の塔は、「大阪府日本万国博覧会記...
『太陽の塔』内部探訪。(通常撮影可能エリア編)
過去回で「『太陽の塔』内部(上層階)でも試験的に写真撮影サービス(有料)が始まっていた」という記事を投稿しましたが、今回はその続編です。「2018年12月20日から撮影機材の落下の恐れのない塔内部1階部分に限り、写真や動画の撮影が可能」とな...
『コップのフチの太陽の塔』にチャレンジ。
太陽の塔の50歳を祝うべく、万博記念公園にお邪魔した(過去記事はこちらやこちらやこちら)際、公園内の売店で『コップのフチの太陽の塔』というガチャ(カプセルトイ)マシンが置かれていることに気づきました。そんなわけで、今回はそこでゲットした戦利...
New role(新たなお役目)
- 今回太陽の塔に課せられたのは、「新型コロナウイルス感染症の発生状況に関して、大阪府独自のモニタリング指標を設定し、その警戒状況を分かりやすく表示する」べく、以下の基準でライトアップするというものです。
- 赤でライトアップ:警戒中
- 黄でライトアップ:注意喚起
- 緑でライトアップ:基準クリア
- 太陽の塔だけでなく、通天閣さんも同様にライトアップされるそうです。
News source(情報源)
- 大阪府独自のモニタリング指標の説明はこちら。↓
大阪モデル/感染拡大・医療提供体制のひっ迫状況を示す指標
- 「太陽の塔と通天閣をライトアップしますよ」という大阪府のプレスリリース。↓
301 Moved Permanently
- 協力する側(万博記念公園さん)のプレスリリースがこちら。 ↓
万博記念公園
1970年に開催された日本万国博覧会、当時の先端技術を駆使して建てられたパビリオンが林立する未来都市空間。さまざまな樹木や草花を植え、太陽の塔を中心に、自然の森、そして新たな緑の公園として再生しました。
Sample & Reputation(ライトアップされると、どんなふうになるのか。そしてその評判)
- 「ねとらぼ調査隊」さんのこちらのページが分かりやすいまとまっていると思います。(一言でいうと「賛否両論あるけど赤のインパクトはすごい」ということのようです)
赤くライトアップされた太陽の塔に「子どもが見たら泣く」「使徒襲来」ネットでさまざまな意見(1/2) | ニュース ねとらぼリサーチ
大阪府が独自の基準で新型コロナウイルスの警戒レベルを定めた「大阪モデル」。その警戒基準レベルをライトアップで通知する取り組みを発表しました。 太陽の塔、通天閣、岸和田城といった大阪のランドマークが5月11日よりライトアップされる予定で、5月...
- ねとらぼさんでも引用している3色の試験点灯の写真を載せているツイートがこちらです。特に「赤」は、確かに「これ以上の警戒はないかも」と思わざるを得ないようなお姿です…。↓
- で、世間の反応としては「インパクトがすごいから警戒効果ありそう」という肯定的なものから、「外出自粛時にこれを見に来る人が出たら逆効果」「府知事のパフォーマンス。そのコストを医療に回せ」という否定的なものまで、様々なようです。
Comment(識者の声)
- ここで唐突ですが、岡本太郎さん(「太陽の塔」の作者)の秘書兼養女だった岡本敏子さんの甥で、現在「岡本太郎記念館」の館長を務める平野暁臣さんが2年前にNHKの番組で語った「太陽の塔」に関するコメントをご紹介します。
(原文はこちら。↓)
エピソード - 視点・論点
「視点・論点」のこれまでのエピソード一覧です。
- 私なりに要約しますと…、
- 岡本太郎は、当時(現在も?)の日本人は「西洋モダニズム」と、その裏返しとしての「伝統主義」という二つの価値基準しか持ち合わせていないと感じていた。
- “伝統”といっても、今の京都に残っている“伝統”は形式だけだし、奈良に残っているのは大陸文化そのものでしかない」
- そんな時、太郎は「オリジナルの原生日本」を表すデザインとして縄文土器の造形に着目した。
- 太郎は、縄文文化から、狩猟採集時代の孤独や不安に耐えつつ自然と溶け合う形で生きていた我々の祖先の生命力と呪術の感性を読み取った。
- それ以降、太郎は「縄文の精神・原生日本の精神を呼び覚まし、取り返すことが俺の仕事だ」と考えるようになったと思われる。
- 太郎は1964年に『芸術は呪術である』と宣言。そしてその3年後から太陽の塔に取り組む。
- 「まず地下ゾーンで“生命を作る遺伝子などの物質”が観客を包む。(いのち)」
↓ - 「続いて狩猟時代の生きざまを提示。(ひと)」
↓ - 「さらに世界中の仮面や神像を展示。(いのり)」
↓ - そして太陽の塔内で、1本の樹(=生命の樹)の上で、単細胞生物から人類に至るまでの生物進化の歴史を表現し、これをたどる形で生命の神秘とダイナミズムを感じとりながら“縄文の心”を思い出してもらう。
これが太陽の塔に込められた真のメッセージだと思う。
ただ、高度経済成長に酔いしれていた当時の観客には、おそらくほとんど理解されていなかっただろうけど。
- 岡本太郎は、当時(現在も?)の日本人は「西洋モダニズム」と、その裏返しとしての「伝統主義」という二つの価値基準しか持ち合わせていないと感じていた。
- だいたい、こういうまとめになろうかと思います。
Conclusion(まとめ)
- 「岡本太郎記念館」館長である平野さんは、今回の“コロナ警戒基準ライトアップ”について特に言及していらっしゃらないようですが、上記にようなお考えがあればこそ、太陽の塔がこういう趣旨でライトアップされることについては、理解を示されているんじゃないかと、私は勝手に推察しています。
- というか、当の岡本太郎さん自身も、もし御存命であれば、「生命進化の歴史における(決して小さくない)危機」の警戒役として、彼が手がけたパブリックアートの代表作がこうやって使われることについては、
「それみたことか。だからオレは『人類は進歩も調和もしていないんだ』って、50年前から言って来たんだ。進歩だ未来だとかはしゃいでいるうちに、生命の根元のところが未知のウィルスに攻撃されているではないか。人類よ、なんたるザマか! 感染こそ爆発だ!(←最後は蛇足…)」
とか言いながら、ライトアップの協力は惜しまなかったと思います。
(もしかしたら、さらにブッ飛んだプロジェクションマッピングとかの演出まで加えていたかもw) - 今年で満50歳を迎えた太陽の塔が、こんな形で世間の注目を集めることになるとは、想像もしていませんでしたが、私も今回のライトアップはいいんじゃないかと思っています。
- でも、どうか赤くなりませんように。
Link(関連サイト)
- 「万博記念公園」公式サイト。
万博記念公園
1970年に開催された日本万国博覧会、当時の先端技術を駆使して建てられたパビリオンが林立する未来都市空間。さまざまな樹木や草花を植え、太陽の塔を中心に、自然の森、そして新たな緑の公園として再生しました。
- 「太陽の塔」公式サイト。
トップページ | 「太陽の塔」オフィシャルサイト
「太陽の塔」オフィシャルサイト - トップページ - 2018年(平成30年)「太陽の塔 内部再生」事業では塔の耐震工事の実施とあわせて、「生命の樹の生物群」や「地底の太陽」とともに復元し、平成30年3月に一般公開を開始しました。
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