初めての山梨旅行【その4:山梨文化会館の建築見学(後編)】

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初めての山梨旅行【その4:山梨文化会館の建築見学(後編)】
  • 「初めての山梨旅行」の4回目です。
  • 今回は「山梨文化会館」見学の中から、2015年に実施された「免震レトロフィット」についてご紹介します。
    • 既存の建物の最下層や中間層に免震装置を設置して、外観や内装を損なうことなく免震建物に生まれ変わらせることを「免震レトロフィット」と呼びます。
    • 丹下健三作品初の免震レトロフィットが、ここ山梨文化会館だったそうです。
  • 免震工事以外について紹介した前回記事はこちら

When(訪問・利用・購入時期)

  • 2019年10月某日。

Where(所在地)

  • ここ。

Who(同行者の動きなど)

  • 総勢4名でおじゃましました。
    • 甲府市内を一望できる屋上を満喫したあとだったこともあって、行動メンバー内に「えー、免震工事〜? 円柱の地下部分〜?」みたいなネガティブムードが一瞬広がりましたが、有無を言わせず道連れにしました。(いざ地下に降りてみたら、みんなけっこう盛り上がっていましたが。w)

Why(訪問・利用・購入目的&期待値)

  • 丹下健三初の免震レトロフィットっぷりを、できれば拝んでおきたい。
  • そもそも、既に出来上がっている建物の最下層に、あとから免震装置(巨大なゴムの塊りなど)を挟み込むって、そんなこと可能なの?
  • 広報担当者さん曰く「もしご興味があれば、免震装置とかご覧になりますか?」とのこと。ぜひぜひ!と、全力で懇願。

What(やったこと・体験したこと)

  • 通常の見学ルートを終了し、まずは建物外へ。
  • 地震発生時に揺れを吸収された建物は、地盤とは異なる動きとなるため、建物の周囲に設けられた「建物が動けるすき間(「クリアランス」と言います)」を拝見。
  • その後、円柱内の螺旋階段を降って地下へ。
    • この円柱自体に「免震装置」を挟み込む必要があったため、螺旋階段は地下階の途中で強制終了させられ、別の新設階段がさらに地下へと続いてました。
  • 免震装置の実物が覗ける部屋に入室。見学者向けの解説パネルを見ながら説明を拝聴。
  • 日本の免震工事技術の凄さに感心しながら、後ろ髪を引かれながらも地上へ戻る。

How Much(消費コスト)

  • 免震レトロフィットの見学も、これまた無料山日YBSグループさん、本当に太っ腹です。

Photo(記録写真)

建物1階の外壁にはめ込まれていた「免震建築物である」ことを示すパネル。
地震時には建物が最大で横に40cm動くことがありますので、ご注意下さい」だそうです。
そうやって揺れを吸収するんですねぇ。
「建物が横に最大40cm動けるように設けられたすき間(クリアランス)」が隠れている階段。
1段目の下に黒く細長い板状の物体が見えますが、この下にすき間(クリアランス)があるんだそうです。すげー。
このように「建物とすき間を橋渡しするように取り付けるもの」を「免震エキスパンション・ジョイント」と呼ぶそうです。
「建物を支える円柱」の内部にある螺旋階段。かつてはさらに地下へと続いていましたが、この下で円柱を輪切りにして「免震装置」を挟み込んだため、螺旋階段も“この階で終了”となったそうです。
(この階下へ降りるための階段が別途新設されていました)

で、これが「別途新設された階段」。
免震装置によって揺れが吸収されると、階段側(奥)と通路側(手前)が異なる動きをとるため、ここにもすき間(クリアランス)が設けられています。
蛇腹の壁といい、足元の鉄板といい、ここの「免震エキスパンション・ジョイント」は、まさに“電車の連結部分”のようです。
面白い〜。
免震レトロフィットを説明するパネルや映像モニター。
免震装置のレイアウトを示すパネル。
ここまでくると、建築関係の人じゃないと正確な理解は難しいかも。
それでも、「大変な工事」だったことは素人にも伝わってきます。
「柱を途中で輪切りにして、ジャッキで持ち上げて、免震装置を挟み込んでジャッキをはずす」って、ザックリ聞いただけでとんでもない仕事だと思います。
床に描かれた「白い円」が、実際の円柱のサイズをあらわしています。
で、そのライン上に置かれているコンクリートの塊りは、実際に切り出された「円柱の一部」なんだそうです。
ぶったまげ〜。

輪切りにされた円柱の一部。
鉄筋の入り具合が、けっこうバラついているんですけど、大丈夫なんでしょうか。w
(建設当時、なんらかの技術上の意図があったんでしょうけど)
フタを開けたところから、免震装置の一部が見られました。
別角度から見た免震装置。
上下に分断された円柱基礎の間に、黒い免震装置(ゴムの塊り)が挟まれているのですが、奥の暗闇と同化してしまって、円柱基礎がまるで空中浮揚しているかのようです。w

Good(イケてる点)

  • 昭和の名建築外観を保ちつつ、建物の免震化を決断した山日YBSグループは、エライと思います。
  • 放送スタジオが入っているため、振動騒音が生放送や番組収録に影響しないように、時間を選びながら工事を進めた工事関係者は、さぞや大変だったことでしょう。
  • まさに“縁の下の力持ち”を見られて、感謝感激。

Not Good(イケてない点)

  • 地下の免震装置部分の見学は、オプションコースのようでしたが、ぜひ通常コースに組み込んだ方がいいように思います。

Conclusion(まとめ)

  • 丹下健三のメタボリズム建築の代表作を、屋上から地下までたっぷりと見学させていただきました。
  • 建築好きの方々には、ぜひ一度見学することをおすすめします。

Link(関連サイト)

  • 山梨文化会館」の公式サイト(建築紹介ページ)。
山梨文化会館と丹下健三 | 山日YBSグループ あなたの、いちばんメディア。
山梨日日新聞社・山梨放送グループの拠点である山梨文化会館は、世界的建築家の丹下健三氏が設計を行い、グループ各社それぞれが独自性を十分に発揮でき、なおかつ互いに融通し合い協力できる拠点として構想、建築されました。
  • 「建物見学」の案内ページ。
山日YBSグループ あなたの、いちばんメディア。
山日YBSグループは山梨日日新聞社、山梨放送を中核とする総合情報メディアグループです。
  • 丹下都市建築設計」の「山梨文化会館」紹介ページ。
    • 1966年の竣工時と思しき写真が見られますが、木造家屋群の奥にドドーンとそびえる様子が、異様でもあり、カッコ良くもあり。)
山梨文化会館 | TANGE建築都市設計
TANGE建築都市設計の事例紹介:山梨文化会館

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