- バリ島には鉄道はありません。
- 路線バスは走ってはいますが、路線を把握する難しさや本数などの面で旅行客が使うのは難しいと思います。(第一、幹線道路沿いの「暑くて排気ガスもたっぷりなバス停で、いつ来るかも分からないバスを待つ気にはなれません)
- そうなると、消去法としてクルマ(あるいはバイク)での移動が中心になるわけですが、「つまりはタクシーっつうことね」と単純にいかないのがバリ島の面白い(そして面倒な)ところです。
従来のクルマ移動の種類
- 主な選択肢は以下の3つです。それらの特徴をまとめてみます。(自分で運転するレンタカーは除く)
その1:旅行代理店やホテルでクルマをチャーター
- 「2時間・4時間・半日・1日」など、時間を指定してチャーター。
- 長さに応じて料金が設定されているため、ぼったくられることはない(はず)。
- 料金に納得いかなければ、別の代理店を探せばいいだけの話。
- 契約時間内ならば好きなところに連れて行ってくれるし、クルマを降りて観光している間も駐車場などで待機していてくれる。
- 日本語ガイド付き(日本人ではない)も可能。(その分、料金は割高)
- これ以外に「ホテルから◯◯ショッピングセンターまで片道いくら」という“距離制の料金”を提示されることもあり。(ホテルなどで多いケース)
その2:メータータクシーを拾う・呼ぶ
- 南部リゾートエリアでは、日本同様に「メーター制」で走るタクシーが多数営業。
- 歩道を歩いていれば、空車のタクシーがクラクションを軽く鳴らして「乗ってかない?」アピールをするので、拾えないことはまずない。
- ホテルの高いクルマをチャーターするのがもったいない場合はドアマンに「メータータクシー呼んで」と頼めば呼んでくれる。
- ただし、一部の運転手はメーターを作動させずに「その目的地までなら◯万ルピア」とふっかけて来るケースもあり。
- よって、乗車したらメーターの作動状況を確認し、作動させない場合は「メーター動かしてくれ」と言うべき。それでもゴネるならとっとと降りましょう。
評判がいいのはブルーバードタクシー
- そんな中で、「白タクまがいの行為が少なく、安心して乗れる」と長年評価されてきたのがBluebird Taxi(ブルーバードタクシー)。
- ガイドブックなどを見ても「ホテルやレストランなどでタクシーを呼んでもらう場合は『ブルーバードタクシーを呼んで下さい』と指定しましょう」という記述多し。
- ただ、残念ながらブルーバードでも「白タクまがいの行為が皆無」というわけではない。他社より圧倒的に低確率ではあるが「変な運ちゃんに当たる」こともゼロとは言えない。
- 実際私も、メーターを作動させておきながら、いざ目的地に着いたら「距離が短かったのでメーター表示額ではなく、別の最低保証料金を払って欲しい」と意味不明な追加料金を求められたことあり。(←じゃぁ初乗り運賃は何だったんだ? 百歩譲ったとしても、せめて乗車して目的地を告げた段階で言えっつーの)
- ちなみに、バリ島のタクシーのドアは、客が自分で開閉するスタイル。
その3:純粋な「白タク」を使う
- 南部リゾートエリア以外(たとえばウブドとか)では、そもそもメータータクシーをほとんど見かけない。
- そこで白タクが
暗躍もとい活躍。 - 街なかを歩っていれば、あちこちから「Taxi?」「たくしー、ドウデスカ? ヤスイヨ!」などと声がかかる。
- 料金は、もれなく「交渉制」。車両も普通自家用乗用車。(タクシーっぽい塗装などは、なし)
- 交渉は、ほぼ英語。
- 運転中は、これまたほぼ例外なく「どこから来た? バリは何回め? いつまで滞在する? 明日はどこに行く? いい観光地があるが行ったことあるか? 明日も利用しないか?」というセールストークが飛んでくる。
- 運転手の中には実にいいヤツもいたりするので、人を見極める力量が問われます。
- つまり、バリ島では白タクを「タクシー」と呼んでいるがために、メーター制のタクシーをわざわざ「メータータクシー」と区別して呼んでいるっぽい。
配車アプリによるオンラインタクシーの登場
- そして、数年前に登場したのが、オンラインタクシー。
- バリ島ではGRABとかGOCAR(GO-JEK)が有名。
- 世界的に有名なUberも営業していたが、2018年に東南アジアから撤退し、事業はGRABに譲渡された。
- またバイク用の配車アプリもあり。
オンラインタクシーのいいところ
- 配車アプリで簡単に呼べる。
- アプリで目的地も指定すれば、乗車してから目的地をあれこれ説明する必要がない。
- 配車が決定した段階で運転手の顔やカーナンバーが分かる。
- 料金は距離制だが、メータータクシーより割安。(時間帯によって変動する模様)
- 運転手側のアプリにも推奨ルートが表示されるので、意味不明な遠回りをされにくい。
- クレジットカード払いが可能なので、小額紙幣の用意が不要。
- 運転手からも「お釣りの持ち合わせが足りない。(そのぶん、チップにしてくんない?)」と言われずに済む。
- グッドな運転手さんに対しては、チップの額を客が加算してクレジットカードで支払うことも可能。
- 降車後、乗客は運転手を評価できる。(おそらく乗客も運転手から評価されているはず)
- 低評価が続くと営業停止などのペナルティーが課されるらしく、運転手側の質が担保されやすい。
- 極論すると、「配車アプリで呼べば、あとはハロー、サンキューと言うだけで目的地に(安全・安価に)行ける」、それがオンラインタクシーのメリットです。
オンラインタクシーの残念なところ
- バリ島では「オンラインタクシーの利用禁止エリア」が設定されている。
- 目的地を問わず、「禁止エリア内からの乗車」はNG。
- 「禁止エリア外で乗車 → 禁止エリア内で降車」はOK。
- 「どこが禁止エリアなのか」が、旅行客側には分かりにくい。
- ググれば、禁止エリアの地名が羅列してあるサイトがいくつも見つかるが、「大通りの向こう側はOK」などの細かい区域設定もあるようで、全貌は不明。
- あえて分かりにくくして利用者の利用意欲を削ぐのも、禁止する側の思惑では? と勘ぐりたくなるほど。
- いずれにせよ、この「残念」はオンラインタクシー側の落ち度に起因するものでないのは、言うまでもありません。
- 常識で考えれば、白タク側かメータータクシー側からの圧力によるものだと推察されます。
あのブルーバードタクシーが「配車アプリ」をスタート!
- ところがなんと、メータータクシー界の雄、ブルーバードさんが3年ほど前に配車アプリ業界に参戦してきました。
- オンラインタクシーに市場を奪われたくないという意図が当然あったはず。
- 旅行客側にしてみれば、「アプリを介して“白タク運転手”を(合法的に)組織化したオンラインタクシー」に加え、「もともと高評価なブルーバード社のメータータクシーだけをアプリで呼べる」という選択肢が増えたことになるので、これは大歓迎するしかない。
- ブルーバードなら、これまでも「オンラインタクシー利用禁止エリア」を普通に流していたし、禁止エリアの内外でアプリを使い分けたら、旅行客はこれまで以上に幸せになれそう。
ところが…
- 今年のバリ旅行時、ウブドの中心部でこんな看板を見かけました。
- 上から順に和訳してみます。
- このエリアでは、オンラインタクシーの利用は禁止されています。
- 親愛なるゲストの皆様…!!!
- もし、あなたがウブドを愛して下さっているなら、地元運転手のコミュニティをどうかリスペクトして下さい。
- オンラインタクシーを使わないで下さい。
- 要するに「地元の連中がやってる白タク商売に影響するから」というのが理由なんでしょう。
- 確かに、好き勝手な言い値でボッタクる白タク商売は、やりにくくなるでしょうからね。
- それにしてもさぁ、これまで旅行客から高額な運賃を散々ふんだくってきた白タクコミュニティから「僕たちをリスペクトしてね」と言われてもさぁ。そもそもあんたらだって旅行客をリスペクトしてないからボッタクリ商売できてたんじゃねーの? どの口がリスペクトとか言ってんだよ。 というのが、私の率直な気持ちです。
看板の禁止業者をよく見ると…
- で、先ほどの看板をじっくり見ていたら、1社だけロゴマークではなく実際の営業車両の写真が載っています。
- なぜ写真なのかは定かではありませんが、結論を言うと、これって、あのブルーバードタクシーの車両なんですよね。
- ただ、この看板だけだと…
- 「他のメータータクシーはOKなのか」
- 「ブルーバードだけNGなのか」
- 「ブルーバードの配車アプリを利用するのがNGなのか」
- 「ブルーバードを電話で呼ぶ分にはOKなのか」 といったあたりが良く分かりません。
- その点が推察できそうなエピソードも体験してきましたので、次回に続きます。
Link(関連サイト)
- ブルーバード社のレギュラータクシー紹介ページ
https://www.bluebirdgroup.com/regular-taxi/
- ブルーバードさんの日本語による自動車チャーターサービス専用サイト
https://bluebird-hg.jp
- GRAB社のサイト
Grab. The Everyday Everything App
Grab is Southeast Asia’s leading superapp. It provides everyday services like Deliveries, Mobility, Financial Services, ...
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