映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』の字幕版と吹替版を見てきた。

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映画『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』の字幕版と吹替版を見てきた。
  • イギリスでテレビドラマシリーズの放送が始まったのは2010年。

  • テレビ版全6シーズンの放送終了が2015年。

  • 劇場映画版(1作目)が公開されたのが欧米では2019年9月。日本公開は2020年1月。

  • で、欧米では今年の4〜5月に公開され、日本でもようやく9月30日から上映開始となったのが映画版の最新作『ダウントン・アビー/新たなる時代へ』(原題: Downton Abbey: A New Era)であります。

  • 足かけ12年の、まさに“イギリス貴族版『渡る世間は鬼ばかり』”といったおもむきの作品なのですが、字幕版吹替版の両方を見る機会に恵まれましたので、ネタバレしない範囲で感想などを列記しておきます。

吹替版を上映する映画館が少なすぎ。

ダウントン・アビーが日本で浸透したのは、2014年春からNHK(しかも地上波)が放送を開始したのが最大の要因だったと思います。(スターチャンネルのほうが放送開始は早かった)

で、多く(おそらくほとんど)の視聴者は音声切り替えや字幕オン操作をせず、日本語吹替放送のままで見続けてきたと想像します。(実際、私自身もそうです)

つまり、クローリー家の当主役を演じたヒュー・ボネヴィルは最初から玉野井直樹さんの声でしたし、先代伯爵夫人のしゃがれた声は、演じたマギー・スミスの地声ではなく一城みゆ希さんが作り上げたものであり、我々の多くは「吹替放送も込みでダウントン・アビーの世界観に浸ってきた」と言っても過言ではないのです。

ところが、今回の公開に先立ち上映劇場を探したところ、吹替版を上映しないところが驚くほど多く、いささか面食らってしまいました。

都心を例にすると、「字幕版&吹替版」なのは日比谷・新宿・二子玉川などの地区である一方、日本橋・渋谷・六本木・池袋・品川の各地区は「字幕版のみ」となっています。(10月5日現在)

「テレビ放送とは違って、外国作品を映画館で上映する際は字幕版が基本なんです。吹替版はオマケです。サービスです」ってなことかもしれませんが、正直なところ「配給会社は分かってねーなー」という印象しか持てません。

私が担当者なら「どちらか1つしか上映できないシネコンに対しては、率先して吹替版をプッシュする」んですけどね。 ま、今さらしょうがないですけど。。

本作に登場した新キャラの吹替えは大変だったと思う。

ある映画俳優(の役)が登場するのですが、最初に字幕版を見た際の第一印象は「うわー、この女性のセリフ、原語のニュアンス込みでどうやって日本語化するんだろう? 何よりも、彼女の吹替えを担当する声優さん、難しそうだなぁ」ということでした。

で、その後に吹替版を見て、「なるほどー、こういうセリフ回しにするワケね。声優さんもお上手〜」と感心したのは言うまでもありません。さすがプロですね。

この人の声色というか声質自体がストーリーに大きく影響するので、興味のある方はぜひ字幕版もセットでご鑑賞してみてはいかがでしょうか。

登場人物は、みんな歳をとった。

ほとんどルックスが変わらない人もいますけど、中には「あっ」と思うほどに加齢感を漂わせている人もいたりと、レベルに差はありますが、放送開始から12年ですから、そりゃ役者さんたちも歳をとりますよね。

ただ、ストーリー自体もきちんと年数を経ていく形になっていますので、極めて自然な老け方になっております。

まさに「渡鬼」同様に(いや、それ以上に)、よくぞ製作時期(俳優陣の加齢)に合わせて面白おかしいストーリーを作り上げるもんだと感心せずにはいられませんでした。

この人の声色というか声質自体がストーリーに大きく影響するので、興味のある方はぜひ字幕版もセットでご鑑賞してみてはいかがでしょうか。

副題「新たなる時代へ(A New Era)」について。

「新たなる時代」の象徴としては、予告編でも提示されている「お屋敷で、なんと映画撮影」という分かりやすいエピソード以外にも「誰と誰がくっついた」「誰の子供が増えている・成長している」などの“ダウントンではおなじみの展開”もしっかり用意されています。

一方、冷静に考えると「新しい時代が来る」ということは「その前の古い時代が終わる」ことでもあるワケです。

これ以上は控えますが、「あぁ、そうだった。こうやって時代は変わっていくんだった。新旧が交代するからこその“A New Era”なんだよなぁ…」としみじみすること請け合いです。
(と同時に「お、新しい時代を象徴する新キャラだ。っつうか、そもそもここのお屋敷は、家族も使用人もなんだかんだ言って、昔からリベラルだよねぇ」と浮かれながら見始めた自分をちょっと反省したりもしましたが)

偶然とはいえ、日本での公開タイミングが絶妙すぎ。

20世紀初頭〜前半のイギリスの地方貴族のお話ですので、イギリス王室との関わりがちょいちょい描かれたり、当時の王室メンバー(の役)が過去作に登場したりもしてきました。

で、イギリス王室といえば、今年9月には70年ぶりのお代替わりがあったわけです。

今年の春先に公開された欧米地域の皆さんは「エリザベス女王」の時代下で鑑賞したのですが、我々日本人はまさに「お代替わり直後」のタイミングで本作品を見ることとなり、偶然とはいえ、感慨もひとしおでした。

これ以上はネタバレになるのでボカしますが、「あ、この乗り物のデザイン! どっちが先なの? もしかして、この映画が現実の世界に影響を与えてたりするの?」などなど、各種の妄想込みで楽しめると思います。

次回作はどうなるのか。

ファンとしては、映画版の3作目、さらには新たなテレビシリーズが始まる可能性についても興味のあるところです。

今のところ、何の情報も発表されていないと思いますが、個人的には「もう、これで十分じゃね? 確かに寂しいけど、盛り上がったところで終わるのが“有終の美”ってヤツじゃね? だいたい、次回作があったとしても、あの人とかあの人は出てこれんの? どうなの? 無理じゃね、普通?」という印象です。

あとは、皆さんご自身が劇場でご鑑賞の上、ご判断ください。
(私は、本作後半の「ダウントンのお屋敷を背に、みんなが歩く」シーン自体が「これでおしまいですよ」というプロデューサーの意思表示だったんじゃないかと思ってます)

とはいえ、意外すぎる展開がてんこ盛りの大傑作が新たに作られて、ファン達が一斉に「社長、すごい!すごい!(by 夢グループ)」となる可能性だってゼロとは言い切れません。

作ってほしくないけど、作られたら見に行く。これぞファンの弱み。笑

Link(関連サイト)

映画「ダウントン・アビー」の公式サイト。↓

https://downton-abbey-movie.jp

 

テレビ放送版の全6シリーズを「約10分でおさらいできる特別映像」。↓
(未鑑賞の方は、まずここからどうぞ)

 

劇場映画版1作目を「4分でおさらい」できる特別映像。↓

 

そして本作「ダウントン・アビー/新たなる時代へ」の予告編。↓


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