- どっかのネットニュースを読んでいて、この映画の存在を知り、面白そうだったのでつい先日観に行ってきました。
- いろいろ考えさせられる、でも面白い映画でした。
- ということで、今回は東海テレビ ドキュメンタリー劇場第12弾の『さよならテレビ』についてです。
When(鑑賞時期)
- 2020年・1月某日。
- 劇場のホームページでは(その当時)1月までの上映スケジュールしか公開されておらず、「2月でもいいかな」などと悠長に構えているうちに公開終了になったらイヤなので、なんとか1月中に行く機会を作りました。
Where(鑑賞場所)
- 渋谷のユーロスペースで見てきました。
- 以前、細野晴臣さんのドキュメンタリー映画を観に行ったところです。
- 小規模ながら、「いい映画やってるシアター」という印象があります。
Why(訪問・利用・購入目的&期待値)
- 私は子供の頃から「◯◯の舞台裏」とか「××のしくみ・しかけ」みたいなことに高い関心を示す傾向があり、おかげで今でも「ホニャララの真相・素顔」みたいなコンテンツには食指が伸びがちなのではありますが、そんな私にとって最も馴染みのある映像コンテンツ提供システム(=地上波テレビ番組)の制作現場が、今どんなふうになっているのかを、まさにテレビ局のスタッフが自社の報道局内でカメラを回した作品という触れ込みだったので、それだけで興味津々になったわけです。
- 加えて、テレビ業界内でも話題になっているそうで、私は門外漢ながらも「それだけ、このドキュメンタリーが刺激的で面白いのだろう」と、期待を膨らませて劇場へと向かいました。
How Much(消費コスト)
- 一般チケットが通常1,800円のところ、「火曜サービスデー」が適用されて1,200円で鑑賞できました。
- 毎月1日の映画サービスデーだと1,100円となり、さらにお得になります。
What(訪問記録)& Photo(写真)
『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』も絶賛上映中。
下段の“けだるい顔”をした人は、東海テレビの局アナさんです。
こんにちはスクリーン。
Impression(感想)
- 以下、ネタバレしない程度に書いてみます。
これを作らせた東海テレビはスゴい。
- もともとは東海テレビさんの“開局60周年記念番組”として作られたもので、そこに新たなシーンを30分ほど加えて映画化したものらしいです。
- ということは、地上波テレビにおいても(この作品とだいたい同じシーンが、映画に先行する形で)流されたということですから、そのサービス精神というかストリップぶりは相当のもんだと思います。
テレビ報道局の舞台裏が面白い。
- 制作現場の人手不足、希薄化する報道使命、視聴率競争、時間に追われる毎日、突然発生するトラブル、各種“大人の事情” などなど、いろんな角度からテレビ制作現場の実態が描かれます。
- 業界内にいて、こういった実情を知っている人は「よくぞここまで」「うちの方がもっとヒドイ」「うちはこんなにヒドくない」などと思うのでしょうが、一般人の多くは、華やかなイメージもなければ夢もない現実ばかりを見せつけられて、おそらく「テレビって(悪い意味で)こうやって作ってるんだ…」という軽い脱力感に襲われるんじゃないかと思います。(私は、それすら心地よかったりしましたがw)
- ドキュメンタリーですから、ここに描かれているような職場環境が現実にあるのでしょうが、「まぁ、そりゃ確かにこう切り取ったら『こいつら、ダメダメじゃん』チックなトーンになるけど、これって普通の会社にだってありがちな悲喜劇だし、ここまで『この人がトホホな人で、あっちの人がパワハラ野郎なんです』みたいに役割を固定化しなくてもいいんじゃないのかなぁ」という部分もあったように思います。
- とはいえ、多くの庶民が抱く「今どきのテレビ局って、なんかいろいろあって大変なんでしょ?」という想像をきちんと上回る形で「テレビ局のシビアな現実」を見せつけてくれたので、私は楽しめました。
- 私が一番笑えたのは、新米記者(しかも契約社員)が季節風物もののインタビューを撮りに行ったシーンです。“インタビュー拒否の連続”の先に待ち構えていたのは果たして!? ということで、ぜひ続きは劇場でどうぞ。
主役(主要登場人物)が“ワケあり”の人ばかり。
- 主な登場人物は、以下の男性3人です。
- つまり、「パッとしない契約の新人記者」「悶々とする契約の中堅記者」「正社員だけど自分の色を出したくない局アナ」という、いずれもワケありの方々のエピソードが中心になっているのです。
- 2年弱、報道局にカメラを入れた結果、徐々にこの3人に焦点が定まっていったのだとは思いますが、こういうバックグラウンドを持った人を2年近くも追って行ったら、そりゃ“テレビ業界における何らかの問題点(の一部)”が浮き彫りにならないハズはありませんから、この人選はちょっと予定調和的かなと感じました。(ドキュメンタリーってそういうものと言われればそれまでですけど)
ぜひ「パート2」も作ってほしい。
- さっきの“ワケあり”人物にも絡みますが、ぜひ次は「社内一のエリート営業マン」とか「普通の総務とか法務部門の部長さん」とか「編成部門の責任者さん」とか、番組制作に直接タッチしない正社員さんたちの日常を追ってみて欲しいと思います。
- その上で、「代理店やスポンサーと地方局の間に見え隠れする力関係」とか「視聴者・一般市民を名乗る人たちの抗議内容と、その対応法」とか「キー局制作の番組割合がいかに多いか。地方局にとっての自社制作番組とは」などの実態を描いていただきたいと思います。
Conclusion(まとめ)
- 大変面白いドキュメンタリー映画だと思います。
- さすが、これまでにいくつもの賞を受賞した監督さん(もちろん東海テレビの社員さんです)だけあって、エンターテインメントのエッセンスもうまく混ぜ込んであるようにも感じました。
- ただ、私などにとっては、それこそがこの映画に対する最大の疑念ポイントにもなっているんですが、つまり「これがテレビの現実なんです。だからいろんな意味で『さよならテレビ』ってタイトルなんです」と宣言されると、「ホントはさ、もっとヤバくてさ、マジで国民が『テレビにさよなら』したくなるような真実があったりすんじゃねーの? それを隠すために、ある意味“分かりやすいテレビの闇”をこうやって提示してるんじゃねーの?」というヒネくれた感想を抱いたりしておりますが、たぶん考えすぎなんだと思います。
- そんなわけで「テレビ業界の真実を暴くドキュメンタリー」というよりは令和2年版『アナウンサーぷっつん物語』と思って鑑賞すると心から楽しめるかと思われます。
- ラスト近くに、“自己批判”チックな「プチどんでん返しシーン」が出てくるのですが、それもある意味「ドキュメンタリーって、そんなもんですから」と監督さんが言っているようにも見えました。
Link(関連サイト)
- 『さよならテレビ』の公式サイト。
映画『さよならテレビ』公式サイト
薄っぺらいメディアリテラシーはもういらない。『ヤクザと憲法』監督&プロデューサーが描くテレビの自画像。東海テレビドキュメンタリー劇場第12弾。2020年1月2日(木)よりポレポレ東中野 名古屋シネマテークほか全国順次ロードショー
- 本作の予告編。
- 東海テレビ公共キャンペーン・スポット「いま、テレビの現場から。」(←こっちも必見)
- 第52回ギャラクシー賞 大賞受賞! 2014 ACC賞ゴールド受賞 東海テレビCM「震災から3年~伝えつづける~」
- 東海テレビ公式サイト内のドキュメンタリー番組紹介ページ。
東海テレビ|TOKAI TELEVISION
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