山手線の脇にある「日の丸自動車学校」は、品川区の侵攻を防いだ目黒区の“砦”だった! かもしれない。

山手線の脇にある「日の丸自動車学校」は、品川区の侵攻を防いだ目黒区の“砦”だった! かもしれない。

東京を中心に新型コロナウィルスが再拡大しているっぽいので、“おでかけブログ”としてはいささかツライ状態が続いております。

と愚痴ばかり言っていても始まりませんから、ネット地図を使って“エア旅行”をしてみることにしました。

発端は、たまたまネット地図で調べ物をしている最中に気づいた、「東京にある、変わった形の建物」と「その付近にある区界(区と区の境)」の関係でした。

スポンサーリンク

「変わった形の建物」とは?

まずは、巨大な球体。

  • JR山手線に何度か乗っている人であれば、その多くが目撃した経験をお持ちだと思いますが、恵比寿駅目黒駅のちょうど中間ぐらいの線路脇にある「日の丸自動車学校」さんが、それです。
  • Googleマップの「航空写真&3D表示」を最大にズームアップすると、こんな感じに見えます。↓
  • 少しズームアウトすると、この建物の形状の異常さユニークさが見えてきます。
  • 「名は体を表す」と言わんばかりに、建物に赤い“日の丸”の巨大球体が食い込んでいるのです。
  • 映画「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」の冒頭に、こんな球体が襲ってくるシーンがあったことを思い出さずにはいられません。↓
  • 今度はGoogleマップのストリートビューを使って、ふもとから観察してみます。
  • 2020年7月現在では「2020年3月」に撮影された画像が表示されますが、あの赤い巨大球体が白くなっちゃっています。↓
  • これは、幻の(もとい、幻になりかけている)2020年東京オリパラの大会エンブレムをあしらっている特別仕様でして、今なら山手線からも観察できます。
  • 詳しくは、以下のページなどをご参照下さい。
日の丸自動車学校|民間施設を活用した大会エンブレム等の装飾の実施について|大会関連事業情報|東京2020大会開催準備|東京都オリンピック・パラリンピック準備局
『山手線から見える、巨大な球体が東京オリンピック仕様に☆(笑)』
山手線にボーーーッと乗っていると、突如オリンピックのエンブレム付きの巨大な球体が現れるんです(笑)恵比寿駅から目黒駅にかけての間にある、日の丸自動車さんの、も…

そして、鋭利な三角形の校舎

  • Googleマップをさらにズームアウトすると、巨大球体が食い込んでいる校舎自体も実に特徴的な形状であることが分かります。
  • もはや“三角形”を通り越し、楔形のような“先細りトンガリ校舎”となっております。
  • 自動車学校なので、当然ながら校舎前には教習コースがあるわけですが、都心の狭い敷地を有効活用してコースに広いスペースを割くべく、校舎の形状を犠牲にしたのでしょうかね。↓

区界(区と区の境)が気になってきた。

  • そうこうするうち、日の丸自動車学校が「ギリギリ品川区寄りの目黒区」に立地していることに気づきました。
  • 例えばYahoo地図で見ると、日の丸自動車学校の数十メートル南東で、北東から南西に分断する形で(目黒区と品川区の)区界の点線が走っているのが分かります。↓
    (追記:スマホだと、後述するゼンリンと同じような区界表示なってるみたいです)
  • ところが、改めてGoogleマップを見ると、伊藤ハムさんの社屋前から日の丸自動車学校へと伸びる道路に沿う形で、区界の点線が出っぱっていることが分かります。
  • 日の丸自動車学校の巨大球体が食い込んでいるのと同じように、実はここまで品川区が目黒区へ食い込んでいるということなのでしょうか?↓
  • 念のため、Map Fanでも確認してみましたが、こちらもGoogleマップ同様、区界が日の丸さんのすぐそばまで伸びています
  • というか、むしろ「本来はもっと出っ張っていた品川区の区界を、日の丸自動車学校がここで食い止めている」ようにすら見えてきます。↓
MapFanで大きな地図を見る
  • さらにマピオンでも確認してみました。
  • ブログへの埋め込みができなかったのでリンク先で見ていただきたいのですが、「日の丸自動車学校へ斜めに続く道路だけが品川区になっていて、しかもその道路の角度と校舎の三角形の角度がぴったり一致しているようにも感じられます。↓
東京都目黒区三田1丁目6の地図(35.63889174538895,139.7133439584799)|地図マピオン
  • 今度は、住宅地図で有名なゼンリンです。
  • こちらでは、ついに区界が日の丸自動車学校の校舎にまで食い込んでいるように表示されました。
  • つまり、日の丸さんの敷地・校舎の一部は品川区だということなのでしょうか? ↓

大きい地図・ルート検索  ( powered by ゼンリン地図 いつもNAVI )
  • ちなみに、地図界の大御所である国土地理院さんの地図だと、ここらへんの区界は冒頭のYahoo地図に似通っており、少なくとも「品川区が目黒区に鋭利に突き刺さっている」感はありません。
  • この地図を最拡大すれば詳細な区界が分かるかも、と思ってやってみたのですが、最高倍率にするとなぜか区界が表示されなくなりました。国土地理院としては「区と区の入り組んだ境界論争なんかに、国は巻き込まれたくないんだよね、悪いけど」というスタンスなのかもしれません。↓

目黒区と品川区の立場

  • 目黒区のオフィシャルサイトの地図機能はGoogleマップを埋め込む形で構成されており、その意味で目黒区は「この場所の道路部分は、品川区の区界が食い込んでいる」という点も含め、Googleマップの“見解”を容認していると考えられます。
目黒区マップ 目黒区
  • さてもう一方の当事者、品川区ですが、同区は「統合型地図情報提供サービス」というページを用意しており、いくつかの切り口で区内の地理情報を確認することができます。
  • で、問題の日の丸自動車学校近辺について、たとえば「区内標高図」を見てみると、2種類の地図が用意されていることが分かります。
  • 1つは「民間地図」と称する普通の地図で、区界は「道路だけ品川区のものだからね」という、比較的穏当な表現が採用されています。↓
統合型地図情報提供サービス - 地図 -
  • ところが、同じ場所を「区内標高図」という“白地図の上に標高別で色を塗り分けました”というタイプの地図に切り替えると、ゼンリンさん同様、品川区の突端が日の丸自動車学校の敷地や校舎に突き刺さっているのです。
  • つまり、品川区サイドとしては「ウチの区は、日の丸さんの中にまで食い込んでますから。日の丸さんの登記簿上の住所がどうであれ、品川区が食い込んでいるのは事実ですから」という強い主張が感じられます。↓
統合型地図情報提供サービス - 地図 -
  • 「道路部分だけ品川区が出っぱっている」にせよ「品川区が日の丸自動車学校に突き刺さっている」にせよ、そもそも何故こんな歪(いびつ)な区界ができてしまったのか、実に興味深い現象ではあります。

答えのヒントは、たぶん「三田用水」。

「三田用水」とは?

  • まずは下記リンク先で日の丸自動車学校周辺のgoo地図をご覧ください。データソースはゼンリンなので、前述のゼンリンとほぼ同じ地図ですが。↓
東京都目黒区三田1丁目6周辺マップ
東京都目黒区三田1丁目6周辺を地図で紹介します。周辺のお店、施設、観光スポット、イベント情報、天気予報、防災情報も検索できます。主な情報提供元はタウンページ、ぐるなび、ホットペッパー、ゼンリン、日本気象協会、国土交通省、ウィキペディアなど。
  • つづいて、同じくgoo地図の古地図バージョンを見てみましょう。とりあえず昭和22年の航空写真からどうぞ。↓
    (スマホからだと“現在の地図”が表示されちゃうようなので、「goo地図の設定メニュー(歯車マーク)」から地図の年代を切り替えてご覧ください)
東京都目黒区三田1丁目6周辺マップ
東京都目黒区三田1丁目6周辺を地図で紹介します。周辺のお店、施設、観光スポット、イベント情報、天気予報、防災情報も検索できます。主な情報提供元はタウンページ、ぐるなび、ホットペッパー、ゼンリン、日本気象協会、国土交通省、ウィキペディアなど。
  • 今度は昭和38年の航空写真です。昭和33年(1958年)創立の日の丸自動車学校がもう映っています。↓
    (先ほどと同じくスマホからだと“現在の地図”が表示されちゃうようなので、「goo地図の設定メニュー(歯車マーク)」から地図の年代を切り替えてご覧ください)
  • しかも、驚くべきことに校舎(たぶん旧校舎)がこの当時から既に“先細りトンガリ形”を連想させる状態で建っていたことまで分かります。
東京都目黒区三田1丁目6周辺マップ
東京都目黒区三田1丁目6周辺を地図で紹介します。周辺のお店、施設、観光スポット、イベント情報、天気予報、防災情報も検索できます。主な情報提供元はタウンページ、ぐるなび、ホットペッパー、ゼンリン、日本気象協会、国土交通省、ウィキペディアなど。
  • で、あらためて最新のGoogleマップを。↓
  • ググッと拡大すると、トンガリ校舎の先端に「三田用水跡」のマークが。↓
  • このマークの場所をストリートビューで見てみます。↓
  • ググッと拡大すると、なにやら記念碑を発見。↓
  • で、三田用水についていろいろとググってみました。まずはウィキペディア先生。↓
三田用水 - Wikipedia
  • 目黒区公式サイト内の「歴史を訪ねて 三田用水2」。↓
歴史を訪ねて 三田用水 2 目黒区
三田用水は目黒の工業発展に大きな役割を果たしました。
  • 「江戸なんでも工房」さんの「三田用水を歩く」。↓
三田用水を歩く
  • 「ミズベリング」さんの「台地の上の、水のない水辺 三田用水跡をたどる」。↓
水のない水辺から・・・「暗渠」の愉しみ方 第10回 台地の上の、水のない水辺 三田用水跡をたどる | ミズベリング
世田谷区から渋谷区、目黒区、港区まで、台地上の渋谷川と目黒川の分水界を流れていた三田用水をたどります。
  • などなど、あれこれ読み込んだ結果、日の丸自動車学校付近を、どうもこんな感じで三田用水が流れていたようです。黄色が用水のルートで、オレンジの三角形が日の丸さんの校舎です。↓

私なりの結論。(というか推論)

  • 上記の地図のようなルートで、三田用水が掘削された。(開通は1664年!
  • 現在の日の丸校舎のトンガリ部分で、三田用水と交差する形で「目黒三田通り」が開通。
  • その目黒三田通りと山手線に挟まれた土地を使い、戦後になって自動車学校が開設されることに。
  • しかし、その敷地内の一部を、三田用水が斜めに横切っていた。(先ほどのgoo古地図だと、少なくとも昭和22年にはまだ用水路らしきものが土地を三角形に分断しているのがしっかり見えてます)
  • その後、三田用水はあちこちで埋め立てられて道路になったり宅地になったりしたが、日の丸自動車学校は開校当時から現在に至るまで、用水(跡)をまたぐ形で校舎を建てることはなかった
  • で、自動車学校より下流(南東)側の用水路部分は道路になったりしたが、その道路のうち元用水路部分だけが品川区となった。(理由は不明…)
  • しかし、本来の成り立ちから言えば、品川区としては「トンガリ部分の先端(記念碑が建っているあたり)までが品川区だ。だって用水と目黒三田通りが交差してるのは、そこじゃん」と主張したかったが、既に日の丸自動車学校(住所は目黒区)が建っていたため、そのあたりがうやむやに処理された。
  • そのおかげで、「日の丸にぶつかるギリギリ手前まで、品川区(の道路)が突き出している」地図と「日の丸の敷地・校舎の一部にまで、品川区が突き刺さっている」地図が混在することとなった。
  • つまり、日の丸自動車学校は、たかだか十数メートルではあるが目黒区に対する品川区の侵攻を捨て身で食い止めたと言える。

    だいたい、こんな感じではないでしょうか。(←妄想のオンパレードですねw)

今は遠出をしにくい状況ですが、いずれコロナが収まってきたら、区界が出っぱっている道路とか建物の住所表示など、現地踏査をしてみたいと思います。

Link(関連サイト)

  • 日の丸自動車学校の公式サイト。↓
【指定】日の丸自動車学校
普通自動車から大型二輪車まで、都会の中心を走りながら免許を取得することができます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました